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2021年12月29日
人材難に悩む地域の事業者にマルチワーカーを派遣する「特定地域づくり事業協同組合」
特定地域づくり事業協同組合制度(総務省の資料より)
「繁忙期の人手を確保できない」「安定した雇用機会を提供できない」。人口減少や過疎化が進んで、こんな問題に直面している地域は全国各地にあります。
こんな地域を支援しようという制度があります。国の「特定地域づくり事業協同組合制度」です。上の図のように地域に設立された「特定地域づくり事業協同組合」が年間を通じて正規職員(季節毎の労働需要などに応じて複数の事業者の事業に従事するマルチワーカー)を雇用し、必要な時期に必要な人手を地域内の事業者(組合員)に派遣します。
国では、この特定地域づくり事業協同組合の運営費について財政支援(職員人件費=上限400万円/年・人、事務局運営費=600万円/年)も行っています。
総務省のパンフレットには、加工業を営むAさんが登場し、「繁忙期のとくに人手が足りないときに確実な人手が確保できるこの仕組みがあることで、稼ぐ時にきちんと稼げて、地域に合った働き方、体制が作れるのでは、と期待します」とコメントしています。
前日(12月28日)の記事で紹介した、海士町複業協同組合(島根県)は、この特定地域づくり事業協同組合として、昨年12月4日に「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律」に基づいて日本初の認定を受け、今年1月11日に事業を開始しました。
東京都から海士町へ移住し事業開始時に勤務を始めた雪野瞭治(当時28)さんは、島の漁業を支える「飯古建設有限会社定置網事業部」で漁師としてのスタートを切り、冬の日本海へと出港しました。勤務初日は、網入れと呼ばれる定置網を仕掛ける業務に従事しました。海上に雪が降りしきるなかでしたが、無事に業務を終え、海士町複業協同組合および特定地域づくり事業の活動に轍が刻まれました。
一方、長野県小谷村では、スキー場運営会社や宿泊飲食業、総合工事業および林業を営む5社により、特定地域づくり事業協同組合の認定を目指し、おたり地域づくり協同組合の創立総会今年8月に開催されました。
豪雪の地の小谷村では、スキー産業に多くの雇用が生まれますが、通年雇用の割合が低く、季節ごとの労働環境が不安定な状況にあります。この度、他種の業種を組み合わせ安定した雇用条件を整え、村内への移住・定住を促進することを目的として「おたり地域づくり協同組合」を設立したそうです。
マルチワーカーと呼ばれる組合の派遣職員は、11月には募集開始予定(今年9月現在)で、初年度は6名とし、雇用形態は正社員、月額の報酬は21万8,000円余(居住手当と退職金積立を含む)と賞与年額31万円余。また、数年の雇用のあと、組合員企業に正社員として働き、キャリアアップを図る予定になっているそうです(今年9月現在の情報)。
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